選挙権は18歳でも未成年者の保護は20歳のままでよくね?

選挙権は18歳から認められますが、民法と少年法の成年年齢は20歳のままですから、20歳に満たない少年には手厚い保護があります。

この民法や少年法についても成年年齢を18歳に引き下げようという議論もありますが、そうなった場合の18歳・19歳の人達のメリットとデメリットを考えてみたいと思います。

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まず、選挙権は18歳からだけど、飲酒や喫煙が許されるのは20歳からだし、法律の未成年者保護は20歳までというようなチグハグになっているのはなぜでしょうか?

それは選挙権と未成年者保護のルールを定める法律が別々になっているためです。

具体的には次のようになっています。

選挙権者の年齢 ・・・ 公職選挙法

民事上の未成年者の保護規定 ・・・ 民法

刑事上の未成年者の保護規定 ・・・ 少年法

この公職選挙法が改正され平成28年6月20日(施行日)以降は、従来までは20歳以上に認められていた選挙権が18歳以上に変更されます。

一方で民法や少年法の成年規定は変更されていないので、未成年者の保護は20歳まで有効になっています。

現状は選挙権については18歳から認められ、未成年者保護は20歳まで認められるということですね。

ただ、何事も几帳面で整理整頓が好きな日本人は、このような法律上の違いについて我慢が出来ず、民法も少年法も18歳まで引き下げて統一するべきだという意見も出ているわけです。

そこで成年規定が18歳になることについて、法律ごとにメリットとデメリットを挙げてみます。

公職選挙法

選挙権が18歳から認められることについては、対象者に不利益はありません。

選挙に行くのが面倒という声もあるかもしれませんが・・・

メリットとしては投票を通じて自分の意見を政治に反映できるということですが、学校の学級選挙とは違って有権者の人数が多数のため、自分の一票が政治を動かすという実感はなかなか持てないかもしれません。

それでも政治に参加するというのは大切な権利ですから、投票を放棄するようなことはしないでほしいですね。

民法

民法の成年規定が20歳となっていることで、未成年者である19歳以下は飲酒や喫煙が禁止されています。お酒を飲んだりタバコを吸いたいと思っている人にはガマンならないルールといえるでしょう。

一方で未成年者には契約の取消権が認められるという保護があります。

例えば、保護者(親)の承諾を得ないで未成年者が借金をした場合には、後からその契約を取り消すことが認められていて、借りたお金のうち使ってしまった分については返さないで解決することもできます。

これは法律のかなり手厚い保護といえます。

民法の成年年齢が18歳に引き下げられたら、18歳・19歳の人はこうした保護を受ける権利を失います。これは大きなデメリットになります。

少年法

少年法では14歳から刑事責任(減刑あり)を負うことになっており、18歳・19歳は成年と同じ刑事罰が適用されることもありますが、罪を犯した場合は刑務所では無く少年院に送られます。

また、罪を犯しても実名が報道されないよう配慮されています。

少年法でも成年規定が18歳に引き下げられたら、罪を犯した場合は刑務所に送られて実名報道がされることになります。

刑罰の減刑がされないので、罪を犯した当事者にとっては不利益な扱いになります。

このように民法や少年法の成年規定も18歳に引き下げると、18歳・19歳の当事者にとって不利益なことが起きてきます。

選挙権では不利益なことは無いのでよいのですが、民法や少年法ではいろいろと問題もありそうです。

こうした点も踏まえて、法律ごとの成年年齢変更の議論を見守りたいですね。

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