F35やイージス艦など兵器が高すぎ戦争は無理ゲー。ドローン最強じゃね?

台頭する中国の巨大軍事力や北朝鮮の核ミサイル配備など、日本を取り巻く安全保障問題は厳しい局面を迎えています。そこでミサイル防衛のためにイージス艦を整備したり、最新ステルス戦闘機F35の調達をしたりと防衛費の負担増が避けられません。

ただ、こうした最先端の兵器はとんでもなく高いです。本当に高すぎます。あまりにも高すぎて、戦争をすることなんて無理ゲーになっています。

例えば、F35の調達価格は1機あたり200億円を超え、イージス艦は1,453億円です。迎撃ミサイルのパトリオットは1発あたり3億8000万円です。こんな高価な兵器がどんどんと消耗していけば、あっという間に国庫は破産です。

それに戦争になれば戦死者への補償も必要になり、国家の経済ダメージも深刻になります。税金と物価が急騰し、国民生活が厳しくなるのは目に見えています。そんな事態になれば厭戦気分が蔓延して、政権の支持率も急落するでしょう。

防衛装備をそろえて抑止を図るのは安全保障上から不可欠の対策ですが、実際に全面戦争を起こせば、その高額過ぎる出費に耐えられるものではありません。

これは日本に限った問題ではなくて、民主制の先進国であれば同じことがいえます。つまり、核抑止論と同じように、通常兵器であっても最先端の(高額な)兵器を消耗する現代戦は国家の破産に直結するため、戦力が均衡する軍事大国同士の戦争は起こしたくても起こせなくなっているということです。

中国やロシアが民主制と言えるかどうかは微妙ですが、それでも指導層は国民の世論を気にしています。そうした政治体制であれば、国家財政を破綻させるような戦争を長く続けることはできません。

軍事大国同士が、互いに「オレはこんな凄い(高い)兵器を持っているんだぜ」とかアピールしても、それを使って消耗戦を続ける体力は無いわけです。

そうした暗黙の了解があって、まるでプロレスやボクシングのマイクパフォーマンスのような威勢のいい脅かし合いをしているということです。

トランプもプーチンも習近平も、口げんかや小規模な衝突があっても、それ以上に傷口を広げるようなマネはしません。金正恩さえも、そうしたバランスを読んで全面戦争につながるような行動はギリギリのところでセーブしています。

そこで、世界が本気で殴り合った第二次世界大戦当時と現在の主力兵器の金額について物価を加味して比較し、現代兵器がどれだけ高くなり過ぎているのかを調べてみました。

この比較は過去と現在の米価上昇率を加味して計算されたものであり、正確な統計とはいえませんが、大雑把に傾向を把握するくらいには役立つと思います。

まず第二次世界大戦時の日本の主力戦闘機はゼロ戦(21型)ですが、当時の調達価格は15万6787円だそうで、現在価格に換算すると1億4757万2987円になるそうです。

最終決戦兵器として建造された戦艦大和は1億3780万2000円で、現在価格に換算すると1680億4361万3514円になるそうです。これは現代のイージス艦の調達価格の1,453億円と比較して、概ね同程度のコストといえるのではないでしょうか。

ちなみに大和はアメリカ艦隊との洋上決戦用の最終兵器として位置づけられ、緒戦での損耗を嫌ったためか実戦投入される場面は少なかったようです。現在価格で1680億円もするような兵器を失ったらダメージは大きいですからね。

それに比べたらゼロ戦の現在価格1億5000万円というのはリーズナブルで、これが量産されて作戦でも多用されたのはうなずけます。(現在のパトリオットミサイルの3億8000万円よりもゼロ戦の方が比較論としては安いわけで、当時の航空機が戦争の主役になったのは当然の結果でしょう)。

リーズナブルな当時の航空機で、高コストな戦艦や空母を沈めることは、とてもコストパフォーマンスの良い作戦でした。

皮肉にも最終決戦兵器の大和は、当時としては超高額な費用をかけて建造したにもかかわらず、大した戦果をあげることなく沖縄への海上特攻作戦でアメリカの航空機により沈没させられました。

このように戦争時には、安価な兵器で高額な兵器を破壊することが敵への深刻なダメージになるわけです。高くなりすぎた兵器の損耗は、国家に与えるダメージが大きすぎるため、絶対的な安全圏でしか運用ができません。

そうなると最前線に投入できる兵器というのは安価で損耗のダメージが小さいものになります。安価な兵器で敵の高コストの兵器を破壊できれば作戦効率が上がります。

そうした過去の教訓から学ぶと、現代にも象徴的な軍事バランスを崩す事件が起きています。

何と2万円のドローンに対して、3億8000万円のパトリオットミサイルで迎撃が成功したというのです。

米陸軍訓練教義コマンドのパーキンス司令官は18日までに、米国の同盟国が地対空ミサイル「パトリオット」を使って市販の小型ドローン(無人機)を撃墜したことを明らかにした。

ドローンが約200ドル(約2万2000円)なのに対し、パトリオットは約340万ドル(約3億8000万円)だ。

そのうえで(司令官は)「もし自分が敵であれば、米ネット競売大手イーベイでこうした300ドルのドローンを買えるだけ買う。配備されているパトリオット・ミサイルをすべて使い果たさせることができるからだ」とも付け加えた。

2万円の市販ドローン、4億円のパトリオットで撃墜(CNN)

これはパトリオットはドローンのような小型の標的であっても撃墜できる能力があることを示した事件でもありますが、兵器同士のコスト比較の観点では最悪の大赤字です。

ドローンには小型爆弾や毒ガス噴霧能力を付加できるので、これを放置することはできません。こうしたドローンを大量に飛ばされると、防御側は高いコストをかけて撃墜しなくてはなりません。

これを安価に迎撃するには低コストのレーザー兵器の開発など、次世代の技術開発が求められるのですが、その開発費用にも高いコストがかかります。

そう考えると北朝鮮の軍事的脅威というのは、高コストのミサイル兵器では無く、安価なドローンの大群や人海戦術による肉弾攻撃、自爆攻撃ということかもしれません。

こうした安価な攻撃を受けた場合、高いコストをかけた兵器を消耗して防御しなくてはなりません。そうした局地戦が起きた場合、その戦闘自体は制圧できても投じたコストは防御側の圧倒的な赤字になるはずです。

とにかく現代の最新兵器というのは高額です。アメリカ軍のB2爆撃機は1機あたり2,000億円以上もするといわれイージス艦よりも高額です。F35戦闘機も200億円以上です。こうした高額な最新兵器を最前線に投入して損耗するような戦争は誰もが嫌がります。

戦艦大和が大事にされて終戦間際まで前線投入されなかったように、B2やF35も高すぎて使えないかもしれません。

すると損耗しても痛くないドローンやリーパーやプレデターといった無人機が実戦向きな兵器といえるのでしょう。

近未来の局地戦は、ステルスなど高コストな機能を省いた安価な無人機を多量に飛ばすのが主戦術になるかもしれません。

この記事の参考として引用したウェブページは以下のとおりです。

F35調達価格

B2とイージス艦の調達価格

戦艦大和の建造費用

ゼロ戦(21型)の価格

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