18歳選挙権の落とし穴。高校生へのRTがネット選挙活動違反

2016年(平成28年)6月19日に改正された公職選挙法が施行されます。

これにより選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられ、投票日までに誕生日を迎える高校3年生も選挙権を有するようになります。この改正によって18歳と19歳の約240万人が新たに選挙権を行使できるようになります。

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※画像と本文は無関係ですが、選挙=ワイロというイメージは無くしたいものですね

高校3年生は誕生日の時期によって選挙権の有無が異なることになるため、同じクラスの中でも選挙権のある生徒とそうでない生徒が混じることになり、高校では対応に困る場面も出てくるかもしれません。

平成28年夏の選挙では、高校生の間で「あたし誕生日が1日違いで選挙できない(><)くやしー」といった会話が交わされそうです。

そういうわけで今年の夏の選挙では多くの選挙ビギナーが参入しますが、ネット選挙活動のルールを確認しておかないと、公職選挙法違反の問題が多発する可能性があります。

その背景として高校生の仲間内では、ラインやツイッター等のSNSで会話をして、時々メールを使用するというスタイルが定着しています。そのため選挙に関する話題についてもSNSやネット上で交わされることも多いでしょう。

社会的課題に関心がある生徒なら、主体的にSNSで選挙に関する発言をすることも想定されます。

候補者やその関係者は、こうした新しい層を取り込むためにネット選挙活動にSNSを積極活用していくものと思われます。

そこで立候補者が注意をしなくてはいけないのが公職選挙法による選挙運動規制です。

公職選挙法では選挙の公平性のために選挙期間中の文書図画の頒布について一定の規制をしています。

これは候補者間の経済格差によって配布可能な文書量が異なるため、配布できる文書の形式を限定して平等化を図ろうという趣旨です。

この原則がインターネットのウェブサイトにも適用されていたので、候補者は選挙期間中にはウェブサイトは更新してはならないという不思議な規制がまかり通っていました。

政府自体がICT活用を推進する時流の中で、さすがにそのような規制は不合理だということで、2013年(平成25年)4月の公職選挙法改正によりインターネットの選挙活動が解禁されました。

ただ、ネット選挙活動が解禁されたといっても全面的なものでは無く、一部規制は存在しており、これがややこしいことになっています。

インターネット選挙運動解禁の概要|総務省

このインターネット選挙運動の解禁では、候補者が不特定多数の閲覧者に呼びかけるウェブサイトへの掲示は認められたものの、特定の相手に発信する電子メールについては厳しい制限があります。

電子メールへの規制が厳しいのは、影響力の強い候補者からダイレクトにメールを受け取ると、それが心理的圧力になるからです。選挙時に戸別訪問が禁止(公職選挙法138条)されるのと同じような理由です。

(ただし、候補者と政党が一定の条件を満たせばメール配信もOKとなります。一般の有権者が選挙活動にメールを利用することはNGです。)

それならラインやツイッターも選挙活動には規制されそうなものですが、総務省の分類ではSNSはウェブサイトと同様の扱いになるので利用可能になります。

ツイートに対してのリツイートも許容されますが、投票日当日については全ての選挙活動が禁止となるので、投票日以前のツイートに関して投票日当日にリツイートすると選挙違反になってしまいます。

また、18歳に達していない者への選挙活動はNGとなるので、高校の同級生グループへのSNS経由の投稿については、そのグループ内に18歳未満者が混じっていれば選挙違反です。

SNSでの呼びかけが認められるので、同じような感覚で電子メール配信を行うと選挙違反になるという罠もあります。

更に選挙運動用のホームページやSNSの投稿内容をプリントアウトして頒布するもNGです。ネット上で確認するのはOKですが、紙文書にして配布するのはアウトということです。

このようにネット選挙活動の可否の線引きはわかりにくいところがあります。思わぬところに地雷が埋まっているような感じですね。

選挙に関わる方は前述の総務省文書をよく確認し、くれぐれも地雷を踏んで公職選挙法違反で摘発されないよう注意したいものです。

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